書店で働き始めたのが約10年前。途中、一度退職したのですがご縁があって「出戻り」まして。復帰して半年を過ぎたころ、店長から「児童書、担当する気ない?」の一声で、児童書コーナーを担当することになりました。
児童書を担当し始めて1年半。子どもがいるとはいえ、全員成人。絵本を始めとした児童書にはまったく縁のなくなったわたしには想像がつかないコーナー。
確かに本部から「これ置いて」と大量の児童書が送り込まれてはきます。が、ただそれを並べればいいというわけではありません。どうすると絵本に興味を持ってもらえるのか、児童書を手に取ってもらえるか、入荷した本を確認しながら日々あれこれと試す日々です。
そんな、児童書を担当し始めて1年半の書店員であるわたしが0歳児、赤ちゃんにお勧めしたい絵本を5冊ご紹介します。
絵本との出会い。0歳児におすすめの絵本
赤ちゃんは生まれたすぐはねんねばかり。絵本なんて見せても分からないんじゃない?と思われがちですが、実はそうではないと個人的には思っています。
絵本を読み聞かせるとまではいかないまでも、お父さん、お母さんの声を聞かせる気持ちで一緒に「見て」もらいたい。特に繰り返すような音、これが入っている絵本を読んでみるといいのではないかと。
繰り返すような言葉はリズムがいいです。リズムといっても指示があるわけではありません。読み手によって異なるリズムであればあるほど赤ちゃんは興味をそそられると思います。
生活の音が絵本になっている「じゃあじゃあびりびり」
おすすめなのが偕成社から出ている「じゃあじゃあびりびり」です。
身の回り、生活の中で聞こえる「音」。それが見開きのページにひとつずつ描かれています。
実は、この「じゃあじゃあびりびり」が発売されたのは1983年。もしかしたらこの絵本を子どものころに読んでもらったお父さんお母さんもいらっしゃるかもしれません。
不思議なリズムの言葉と一緒に「ごぶごぶ ごぼごぼ」
福音館から出ている「ごぶごぶ ごぼごぼ」もおすすめです。
絵本の中に余計な背景がなく、真っ白ななかに小さな丸や大きな丸。不思議なリズムの言葉が赤ちゃんの興味をそそります。
電車にのせてくさいといろんなものがやってくる「がたん ごとん がたん ごとん」
同じ福音館から出ている「がたん ごとん がたん ごとん」もおすすめです。
電車ががたんごとんと走るところにいろいろなものたちが「のせてくださーい」とやってきます。
読み聞かせるコツとしては同じ言葉でも声の高さを変えてみたり間を変えてみたり、声色を変えてみたりすると赤ちゃんが集中できるような気がします(孫調べですw)
大人が見てもかわいいだるまさんが七変化「だるまさんが」シリーズ
それからうちの書店でよく売れているのがブロンズ新社からでている「だるまさんが」シリーズ。
これはきっと大人の人にも喜んでもらえるんじゃないかと思います。だるまさんが可愛いんです。ページをめくるたびにだるまさんがどうにかなっちゃいます。
昔、だるまさんが転んだって遊んだことありますか?あの節回しと微妙に合わせられるんじゃないかと。だるまさんて固いし、いつもきりっとしているのがイメージかもしれませんが、この「だるまさんが」に出てくるだるまさんはとってもふわふわした感じがします。
だるまさんがーって少し「タメ」を作るのがポイントです(笑)
この「だるまさんが」はシリーズになっていて他に「だるまさんと」と「だるまさんの」があります。出産祝いやお誕生祝のギフトにもお勧めしています。
たまごの中から赤ちゃんがうまれてくる「たまごのえほん」
最後におすすめしたいのが童心社から出ている「たまごのえほん」。
これはしかけ絵本なのでお座りができる赤ちゃんにおすすめしたい絵本です。お座りができるころになれば指を使うのがうまくなり、ページをめくる(つまむ)のも少しずつできてきます。
初めはただのたまごなのですが、しかけをめくっていくとかわいい赤ちゃんたちが生まれてきます。
書店に入荷した時に感じたのは表紙の黄色の鮮やかさ。きれいな黄色です。はっきりした色のほうが視覚的に赤ちゃんに訴えるものがあるような気がします。
書店の児童書担当がおすすめする0歳児に読んでもらいたい絵本のまとめ。
これでも一応3人の子どもを育ててくる中で、赤ちゃんの頃に絵本を読ませるというよりは見せるですかね、赤ちゃんと一緒に絵本を見るのは集中の練習になったなと実感しています。
赤ちゃんが絵本に集中するためには、一緒に絵本を見ながら音を聞かせるイメージで読み方を変えたり、間を取ったり。時には「タメ」を作ったり。同じ絵本でも声の工夫をすれば、何度も何度も読んで!と言ってくれる(実際には言いませんが)ような気がします。
これは個人的なことになりますが、赤ちゃんが気に入るのはどんな絵本、という視点も必要かもしれませんが、本を見せる自分、つまりお父さんやお母さんが読みたいと思う絵本を1冊選んでみるのもいいんじゃないかと。
親の趣味、ではないですが、お父さんやお母さんがどんなものが好きなのか、それを伝える感覚で絵本を見てもらうと、もしかしたら「これだ!」という1冊に出会えるかもしれません。
ここだけの話、わが家の3人の子どもたちは「はらぺこあおむし」が大好きでした。わたしが大好きな絵本だからかもしれません。
そして今、「はらぺこあおむし」は孫に送られました。読んで!と何度も読まされた「はらぺこあおむし」、フェルトであおむしを作ったのも良い思い出です。